アンダンテ ~きらきらピアノ こどものピアノ名曲集 1~
こんにちは。
第29回 グレンツェンピアノコンクール 予選、小学1・2年Aコースの課題曲。
曲名 アンダンテ
曲集 きらきらピアノ こどものピアノ名曲集 1
出版社 全音楽譜出版社
気が付いたことや感じたこと、練習するときに気をつけたいことなどをまとめてみました。
アンダンテ
ハ長調
4分の3拍子
Andante
A(1小節目~8小節目)
1小節目~4小節目 → a
5小節目~8小節目 → b
A’(9小節目~16小節目)
9小節目~12小節目 → a
13小節目~16小節目 → b’
どれくらいのテンポで演奏したら良いのか
この曲のテンポはAndante(ゆっくり歩くような速さで)となっています。
”ゆっくり” とはどれくらいのテンポでしょうか。
これは人によって感じ方が違うだろうし、曲によっても様々。
”ゆっくり” といってもいろんな ”ゆっくり” があると思います。
この曲の場合、あまりゆっくりすぎると、メロディーに出てくる2分音符の長さが長すぎて間延びしたようになってしまい、まとまったメロディーラインとなって聴こえにくいと思います。
反対に、曲が始まってあっという間に終わってしまったような感じだったり、なんだかゆったりとした感じに聴こえてこないといった場合には、速めに弾いてしまっているのかもしれません。
自分で演奏したものを録音して聴いてみるとよくわかると思います。
録音したものを聴いてみると思っていた感じと全然違って聴こえるということがあります。
録音した演奏を聴きながら、自分にしっくりと納得のいくテンポを探していくと良いと思います。
付点4分音符と8分音符のリズム
付点4分音符と8分音符のリズム。
例えば左手に1拍ずつ4分音符が入っていれば、両手にしたときにこのリズムは弾きやすいかもしれません。
でも、そうではなくて左手は付点2分音符2つがタイで結ばれ、2小節にわたってのばされています。
右手の付点4分音符と8分音符のリズムを崩れることなく正確に弾くには、しっかりと拍をとりながら2拍目の裏拍にきちんと8分音符が入るように弾いていくことが重要になってくると思います。
正しい音の長さ
例えば、2小節目に出てくる4分音符のソの音。
この音は気をつけて弾かないと1拍よりも短くなってしまいがちになると思います。
4、5、6、8、10、12小節目に出てくる4分音符も同じです。
これらすべてを短く弾いてしまった場合、曲全体がなんだか落ち着きのないものになってしまうと思います。
一度試しに弾いてみてください(笑)
そうするとよく分かります。
4分音符の長さは1拍ですが、これを単純に ”4分音符は短い音符” と認識している子が多いと思います。
でも、そうではなくてちゃんとした ”1拍の長さ” というものがあります。
そのことに気をつけてとなると、すべての音をつなげて弾けばいいと勘違いする子もいるのですが、それではフレーズがなくなってしまいます。
難しいことではありますが、フレーズをとりつつ1拍の長さを十分に聴くようにしたいところです。
どんな演奏に仕上げるか
曲の出だしはmp(メッゾピアノ)となっています。
mpは決してPのように小さな音ではありません。
小さな音で弾いてしまうと、こじんまりとした印象になってしまうと思います。
柔らかく暖かみのあるような音を1つ1つ響かせるようなイメージをもって、 大きなホールで演奏した場合のことも考慮しながら 弾くようにすると自然とmpの音量になっていくのではないかなと思いました。
この曲は大きく二つに分けてAとA’になっていて、この2つを比べてみると、bとb’が少し違っているだけです。
これをどんな風に表現したらいいでしょうか。
bとb’を見てみると、強弱記号がmfになる部分が2か所あります。
まずbの部分。
5小節目から右手はドドレレミ、それと並行した形で左手はラシドと音が順次上がっています。
ここの部分の強弱記号はmpですが、気持ちはその先にあるmfの指示があるソファの音に向かっていると思います。
そうなると自然とクレッシェンドしたくなると思うのですが、音量はmpのままで。
そしてmfでは大きくするのですが前のmpとのバランスを考えて、極端に大きくしないでbのフレーズをさらりと終わらせます。
次にb’の部分。
13小節目から右手はドレミ、それと並行した形で左手はラシドと順次上がっています。
bではドドレレミと2つずつの音で緩やかに幅をもたせて上がっていたのに対して、b’はドレミと1つずつの音で上がっていて、bよりも幅が狭まっています。
b’のドレミも気持ちはその次に出てくるmfに向かいます。
このドレミの部分は楽譜には書いていないけれど、ほんの少しだけクレッシェンドをしてもいいのかなと思いました。
そしてb’に出てくるmfはその前のドレミで少しだけクレッシェンドをした分、bに出てくるmfよりも少し大きめに、bに出てくるmfのソファよりも少し印象づけるような感じにするとbとb’の違いを表現できるのかなと思います。
それから。
bもb’も ”ソファの音をmfで大きくする”
という気持ちが無意識にテンポを速めてしまい、mfにするソファの直前の音である右手のミと左手のドを伸ばしている2拍の拍が瞬間的に速くなってしまう場合があります。
mfにする直前の2拍は決して慌てないでよく拍を感じて、落ち着いて次のmfに入るようにすると、豊かな表現につながると思います。
一番最後は、付点2分音符の3拍の長さををのばした後、手は上に上げることなく、指が鍵盤に触れている状態のまま鍵盤だけが静かに上に上がるようにすると、この曲の雰囲気を壊すことなく終わることができます。
と、私はそんな風に思ったのですが。
みなさんならどんな風に演奏しますか?
この曲はモーツァルトのピアノソナタKV331の第1楽章の冒頭の部分です。
ちなみにこのピアノソナタKV331の第3楽章は、誰でもが耳にしたことのあるであろう ”トルコ行進曲” です。
「大きくなったら原曲が弾けるようになるといいね」と、話しながら原曲のCDを聴いてみるのもいいですね。
最後に
ピアノの演奏の解釈は様々です。
ここに書いたのはあくまでも私自身が感じたこととして受け止めていただきたいと思います。
たくさんのことを書いてしまいましたが、レッスンでどれだけのことができるか。
これにはかなりの個人差があります。
教える側からしたらあれもこれもとたくさんのことを要求してしまいがちなのですが、そうではなく生徒さんのペースに合わせてできることから少しずつ進めていくこと、そしてここに書いたこと全てができたら良くて、そうでなければ良くないということではなく、一つのことができるようになったことに対して認めてあげること。
その過程を大切にして、レッスンをしていきたいと思っています。