中学生になってもコンクールに挑戦できるようになるには

こんにちは♪
教室の生徒がヤマハジュニアコンクール出場者選考会にエントリーしていたので、先日会場へ見に行ってきました。

選考会の区分は幼児部門、A部門(小学1・2年)、B部門(小学3・4年)、C部門(小学5・6年)、D部門(中学1・2・3年)となっています。

当然のことですが、どのコンクールでも年齢が上がるにつれて課題曲は難しくなっていきます。
そして難しくなれば練習時間やテクニックなどそれなりに必要になってくるものも増えてきます。

今はまだ幼児、小学生と小さくてもがんばってコンクールに挑戦している子たちが、中学生になってもコンクールに挑戦することができますように。
そんな思いを込めて、思ったことや感じたことをお話ししたいと思います。

 

中学生

毎年、中学生のD部門は他の部門に比べると人数が少ないです。
これは何を意味しているのかというと課題曲がグッと難しくなることと、ピアノ、勉強、部活との両立が難しくなってくるという練習時間の問題があると思います。

でも、参加人数が少ないとはいえ実際に参加している中学生の子たちはいます。
課題曲が難しくなっても、練習時間をとることが困難になっても、上手く両立させている子たちがいるということです。

きっと自分の中でしっかりと計画を立てて、ピアノの練習の時間を作っているのでしょう。
そして計画を立てることは誰にでもできることですが、それを実行していくことの難しさ。
これにはその子なりの強い精神力、また家族の応援や協力なども必要になってくると思います。

中学生になれば自分の考えや意志のもとに計画したり、実行したりすることができる年齢だとは思いますが、中学生になって急にできるようになるものではなく、やはり小さな頃からの練習の習慣づけだったり毎日の積み重ねが大切のように思います。

目標に向けて計画立てて、それを実行に移していく、そして最後までやりぬく。
こういった経験はコンクールの結果が ”良かった” ”良くなかった” ということよりもずっと重要なことで、これから大人になっていく過程の中で、他のことにも生かしていけるだけでなく、大人になって社会に出てからも、やがていつか子どもができて親となってからも、一生の中での良い経験の中の一つとなることは間違いないと思います。

 

もう一つの理由

もう一つ大切なこと。
中学生のD部門になると参加人数が少ないのには、もう一つ理由があると思います。

それは年齢が上がるにつれて、課題曲そのものに手が付けられなくなってしまうということです。
A部門からB部門へ、B部門からC部門へと課題曲の難易度が上がる壁はあると思いますが、小学5・6年のC部門と中学1・2・3年のD部門の間にある壁は特に大きいような気がします。

私の教室に通う生徒さんで、小さな頃から毎年このコンクールに出場している何人かの子を見ていると、年齢が上がり課題曲が難しくなっていくにつれてコンクールに挑戦していくことがだんだん難しくなっていき、ある年になって挑戦をあきらめてしまう子も少なくありません。

あきらめてしまう子の大半はコンクールの練習に入ると、他の練習している教則本や曲集などがストップしてしまう子がほとんどです。
課題曲の練習をするのに精一杯になってしまい、コンクールの曲だけを何か月も練習するということです。
予選が通過できれば本選に進むことができ、予選が行われる前に本選の課題曲は発表されていても、その曲を練習する余裕などもありません。
ただただ予選の曲1曲集中の練習になってしまうのです。

方や、中学生になっても出場を決め、エントリーしている子を見ていると、小さい頃から毎年毎年課題曲以外にも、普段の教則本や曲集などいつもと変わらず練習がしてあり、その先の本選の課題曲の練習もしています。

A部門やB部門など、小さいうちはコンクールの課題曲を中心とした練習をがんばればなんとか本番に間に合わせることができても、その他の練習がストップしているとなるとこれはあまり良くないことです。
コンクールの課題曲1曲は素晴らしく仕上げることができたとしても、分かりやすく言えば、これは遅れていっているということです。

結果、小さいうちはそれで何年か良かったとしても ”課題曲に手が付けられなくなってしまう時がいつか来る” ということになってしまうのです。

 

広がっていく溝

残念なことですが、私の教室に通う生徒さんに限って言えば、年齢が上がるにつれてコンクールに出場することが困難になり、あきらめてしまう子の多くは要領が良くないというか、教則本や曲集など普段の練習の仕方があまりよくありません。

レッスンではいろいろなアドバイスをしますが、中でも ”家での練習の仕方” を教えるということはとても大切なことだと思っています。
指がよく回らないところだけを取り出して部分練習をするとか、リズム練習をするとか、メトロノームを使ってテンポを統一させるとか・・・

にもかかわらず、普段の家での練習は ”通し弾き” しかしていないだろうなということはレッスンで聴けばすぐに分かってしまいます。
これでは何回通して弾いても、弾きにくいところで必ずつっかかり、何回弾いても同じことの繰り返しです。

せっかく練習する時間を使っていてもこれは ”練習時間の無駄” ということです。
結果、一曲が弾けるようになるまでに何週間、何か月とかかってしまいます。
ということは、自身の曲の難易度が上がっていくペースが遅くなるということで、これを一年間で考えた場合に、課題曲はA部門からB部門へと難易度が上がっているのに対して、普段の練習では難易度がほとんど上がっておらず、それが2年、3年となるにつれて溝が広がってしまうのだと思います。

これが小さいうちから少しずつ広がっていき ある日、課題曲がとても難しく思えてきてしまい気が付いたら手がつけられなくなり、残念ながらコンクールへの出場をあきらめてしまうことになってしまうのです。

 

練習の仕方を工夫すること

練習の仕方を工夫するということはとても大切なことです。
これは急にできることではなく、指導者からアドバイスを受けた通りに練習をしているうちに自分でいろんなことに気が付き、練習の仕方を工夫したりできるようになるものであって、毎日の練習の中で培われるものです。

前述した ”通し弾き” というのはある程度曲が仕上がりの段階になってきた時にはいいと思いますが、譜読みの段階ではとても効率の悪い練習方法だと思います。
また、これを ”練習している” という風に錯覚していると ”練習しているのにどうして上手く弾けないんだろう” ということにもなってしまうと思います。

どうやって練習したらいいのかよく分からない・・・
と、思っているのであれば、まず練習で ”通し弾き中心の練習をしないようにする” ことから始めてみてはいかがでしょうか。
曲全体の中で、弾きにくい所や難しいと思うところをチェックして「今日は、ここの部分だけを弾けるようにしよう」と、練習の前に目標を決めるようにします。

ピアノは弾けるととても楽しいので、迷うことなくすらすらと弾けるところばかりを弾いてしまいがちになるものですが、ここはグッと我慢をして。
弾きにくい所を先に練習してしまうのです。

教則本にしても曲集にしても、必ず弾きにくいところが出てきます。
まずはその弾きにくいところを全てクリアにしてから ”通し弾き” をした時に、”最後まで気持ちよく弾けた” という経験をすることによって、効率の良い練習の仕方を少しずつ身につけていくことができると思います。

効率の良い練習の仕方ができれば習得する曲の数も増え、それ相応に曲の難易度も少しずつ上がっていきます。
小さい頃から効率の良い練習の仕方を心がけるようにしていくこと。
そして ”最後まで気持ちよく弾けた” という経験をたくさんすればするほど、練習へのモチベーションも上がっていき、コンクールの課題曲が難しくなっても柔軟に取り組んでいくことができるようになると思います。

一年というのは長いようであっという間です。
毎日の練習時間はそれぞれだとは思います。
長い時間練習する方が良いとも言われますが、練習の仕方によってはそうでない場合もあります。
練習時間の長さよりも、まずは効率の良い意味のある練習の仕方を心がけること。
こちらに重点を置くようにするだけで、かなり違ってくると思います。
そして練習することの楽しさを覚えると、練習する時間も自然と長くなってくるのではないでしょうか。

 

最後に・・・

年齢が上がるにつれてコンクールの課題曲が難しくなっていっても、あきらめることなく取り組んでいけるように。

普段からの練習の仕方がとても大切です。
これはコンクールに挑戦する、挑戦しないに関わらず言えることです。
ピアノ以外にもおけいこ事がたくさんあってピアノの練習にあまり時間がとれない、ピアノの練習に少し行き詰まってきている・・・
練習に対しての悩みがもしあれば練習の時間ではなく、短い時間でも練習の仕方を工夫してみてください。
練習へのモチベーションが上がっていけば、楽しくピアノを続けていくことができると思います。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。