ハノンピアノ教本 音階の練習

こんにちは。
今日はハノンピアノ教本 音階練習のお話です。

音階の練習は書いてある音が弾けることが目的ではなくいかに音のつぶをそろえてきれいに弾くことができるかということが目的だと思います。

試しにハ長調の音階を弾いてみましょう。
どうですか?
きれいな音のつぶでなめらかに弾けているでしょうか。

ハ長調の音階は「ドレミファソラシド」と、白鍵のみを弾いていきます。
「ドレミファソラシドを4オクターブ弾いて上っていって、ドシラソファミレドと、また4オクターブ下ってこればいいだけでしょ?」
と、簡単に思うのですがいざ両手でこれを弾いてみると・・・
これが意外と難しいんですよね。
「あれ?途中でなんか指がおかしくなっちゃった(笑)」
なんて経験はありませんか?


ハ長調の音階の練習

弾けそうで弾けないハ長調の音階。
「よし!今度こそは!」と、意気込んで無理に通して弾いても上手くはいきません。
たかが音階の練習と思わずに楽曲を練習するときと同じように丁寧にさらうことと、鍵盤に指がなじむまで何度も何度も弾いていくことが音階をきれいに弾くための近道だと思います。
丁寧にさらう?
「ドレミファソラシド」を弾くだけでも考えなければならないことがたくさんあると思います。


1.指使いの確認

指使いはとても重要で、”どうしてその音をこの指で弾くのか” という理由がきちんとあります。
楽譜には指使いが書かれていますが、それをただ見て弾くことを繰り返すのではなく ”どうしてそのような指使いになっているのか” ということを理解してから弾くことはとても大切なことだと思います。
なので音を出すことはしないで、まず指使いを理解することから始めてみます。
「面倒くさいなぁ~」と、思わないでくださいね(笑)
これを理解するかしないかで、うんと違ってくると思います。

では、まず。
ドレミファソラシドの音階の指使いを確認してみましょう。
ここから先は机の上などで指を動かしながら読んでいただくと解りやすいと思います。
”ドレミファソラシド” と、1オクターブだけ弾く場合、右手の指使いは12312345、左手は54321321となります。

これを4オクターブ上っていくということは、1オクターブだけ弾く場合と何が同じで何が違ってくるのでしょうか。
右手で1オクターブだけ弾くときの指使いは1231234⑤でした。
4オクターブ上っていくには、ドレミファソラシドと弾いたときの⑤の部分を1の指で弾く必要があります。
そうすることによって次のレの鍵盤の上に2番、ミの鍵盤の上に3番の指がのり、その先同じようにして4オクターブ弾いていくことができます。

左手で1オクターブだけひくときの指使いは54321321でした。
4オクターブ上っていくには、54321321でドレミファソラシドを弾いた次のレの音を弾くときには必ず4番で弾くようにします。
そうすることによって次のミの鍵盤の上に3番、ファの鍵盤の上に2番、ソの鍵盤の上に1番の指がのり、その先同じようにして4オクターブ弾いていくことができます。

今度は下りです。
ドシラソファミレドの音階の指使いを確認してみましょう。
”ドシラソファミレド” と、1オクターブだけ弾く場合、右手の指使いは54321321、左手は12312345となります。

これを4オクターブ下っていくということは、1オクターブだけ弾く場合と何が同じで何が違ってくるのでしょうか。
右手で1オクターブだけ弾くときの指使いは54321321でした。
4オクターブ下っていくには、54321321でドシラソファミレドを弾いた次のシの音を弾くときには必ず4番で弾くようにします。
そうすることによって次のラの鍵盤の上に3番、ソの鍵盤の上に2番、ファの鍵盤の上に1番の指がのり、その先同じようにして4オクターブ弾いていくことができます。

左手で1オクターブだけ弾くときの指使いは1231234⑤でした。
4オクターブ下っていくには、ドシラソファミレドと弾いたときの⑤の部分を1の指で弾く必要があります。
そうすることによって次のシの鍵盤の上に2番、ラの鍵盤の上に3番の指がのり、その先同じようにして4オクターブ弾いていくことができます。

いかがでしたでしょうか。
ただ当たり前のことを文章で説明しただけのことなのですが、では実際にそれを理解しながら弾いているかということになった場合はこれは難しいことのように思います。
音階の練習は楽譜を見ながらただひたすら何度も弾くだけの練習をしてしまいがちですが、これはとても効率が悪いように思います。

指をどのように運べばよいのかということをまずよく理解して、楽譜を頼るのではなく理解した自分の記憶を頼りに練習した方が最も効率が良いと思います。
自分の記憶を頼りにするということは、その記憶が正しくなければ意味がありません。
練習の途中で記憶があいまいになったりしたときには、その都度確認すること。
そうしながら、指使いを完全に覚えてしまいましょう。


2.片手ずつ弾いてみましょう ~その1~

まずは”ドレミファソラシドシラソファミレド” の1オクターブだけを何度もリピートして片手ずつ弾いてみます。
慣れてきたら片手ずつ4オクターブにしてみます。
この時に大切なのは、”1.指使いの確認” でお話したことです。
自分の指の動きを目で見ながら、次は何番の指がくるのかということを自分の記憶を頼りに考えながら弾くことができるテンポで弾くことです。
自分が考えることができるテンポなので、個人差はあると思いますが無理をして速いテンポにする必要はありません。
この段階ではまだ速いテンポで弾くことが目的ではなく、鍵盤の正しい場所に指使い通りの指がのることが目的です。
だから、別の言い方をすれば決して指使いを間違えないで弾くということです。
止まらずに弾けるようにする必要もありません。
何度も言うようですが、指の動きを理解することです。
もしも指使いに迷ったら、そのまま止まればいいのです。
そして次は何番の指で弾くのかをよく考えてから 次の音を弾けばいいのです。
すごくゆっくりなテンポでも、途中で止まってもいいので指の動きだけに集中して弾くことです。
焦らずゆっくり気長に、指使いに迷わなくなるまでに何日かかってもいいと思います。


3.片手ずつ弾いてみましょう ~その2~

指使いを迷わずに弾けるようになったら今度は指の動かし方にも気をつけるようにしてみます。
それは、指くぐりと指こえをする箇所です。
右手が4オクターブ上っていくときの指使いは123①234①23①234①…ですが、このとき①の指は3の指もしくは4の指の下をくぐっていきます。
右手が4オクターブ下ってくるときの指使いは54321③21④321③2…ですが、このとき③や④の指は1の指をこえていきます。

これのどんな点に気をつけて弾くのかというと。
右手の上りの動きを例にとって一つずつ説明したいと思います。
文章で説明すると分かりにくいかと思いますが、みなさんに上手く伝わるようにがんばって書いてみます。
鍵盤を想像しながら、先ほどと同じように机の上で指を動かしながら読んでみてください。

まず右手の12345の指をドレミファソの上におく。
1の指でドを弾いて、2の指でレを弾いて、3の指でミを弾くと同時に1の指はファの鍵盤の上にのるようにする。
1の指でファの音を弾くと同時に234の指はソラシの鍵盤の上にのっているようにする。
2の指でソを弾いて、3の指でラを弾いて、4の指でシを弾くと同時に1の指はドの上にのるようにする。

お分かりいただけたでしょうか。
何が言いたいのかというと、指はすぐに弾ける状態にスタンバイさせるということです。
例えば ”ドレミファソ” の5つの音だけを弾く場合、12345の指を鍵盤のドレミファソの上にスタンバイさせておいて順番に動かせばいいですよね。
指くぐりや指こえをするときにもそれと同じ状態を作ってあげるということです。
「ドレミ」を123の指で弾いてしまった後に1の指をファの鍵盤にのせていてはスタンバイができている状態ではありません。
なので、3の指でミの音を弾くと同時に1の指はファの鍵盤にのせてすぐに弾けるようにスタンバイさせるようにするのです。

このスタンバイする指の動きをしながら、片手ずつ練習します。
正しい指使いで弾くことも忘れないように。

”指使いのことを考えながらスタンバイする指の動きをする”
二つのことに集中しながら弾くことができるようになったら、今度は音色にも注意をそそぐようにしてみます。
なめらかに、どの音も音色が均一になるように聴こえてくる音をよく聴きながら各指の力加減をコントロールしながら弾きます。
例えば4オクターブ弾いていったときに指くぐりや指こえをする箇所だけ音がとび出て聴こえたりする場合は余分な力が入ってしまい手や指が上手くコントロールされていない状態なのだと思います。
長さも太さも力の強さも異なる10本の指の力加減を均一にそろえるように意識しながら聴こえてくる音色から耳を離さないように。


4.両手で弾いてみましょう

いよいよ両手で弾いてみます。
片手ずつ練習したことを思い出しながら両手でゆっくりと弾いてみてください。
どうでしたか?

初めての両手で指使いを間違えることなく、4オクターブ上って4オクターブ下ってくることができたら素晴らしいです。
そのまま両手の練習を続けて、音のつぶがそろっているか聴こえてくる音色にも気を付けながら何度も弾いていくうちに指が鍵盤になじんでいき、自然とテンポもあがってくると思います。
ただし、その過程でもし指を間違えてしまったら、もう一度ゆっくりなテンポに戻り、指の動きに注意をそそぎながら弾いてみます。
そしてまた少しずつテンポを上げていっての練習を繰り返します。

初めての両手で指が上手くいかなかった・・・
落ち込む必要は全くありません。
片手の練習では上手くいっていても、初めての両手で上手くいかない場合の方が多いと思います。

では、どうして片手では上手く弾けるのに両手になると指が上手くいかないのか。
両手で弾くにはどんなことに注意たらいいのでしょうか。
答えは簡単です。
右手と左手両方の指の動きに注意しながら弾けばいいのです。
「そんなこと分かってるよ」と、言いたくなりますよね(笑)
でも、両手で上手くいかないのは注意し忘れているところが実際にあるからなのです。


ピアノの鍵盤(白鍵)はドレミファソラシドレミファソラシド・・・
という風に並んでいます。
両手で音階を弾くときにはそれぞれの鍵盤は一つずつ順番に平行に弾いていきます。
当然両手、両腕も低い方から高い方へ同じように動き、高い方から低い方へ同じように動きます。
でも指は・・・
そう、指は同じようには動きません。
人間の指は一番中側から親指、人差し指、中指、薬指、小指と左右対称になっているのでドレミファソの鍵盤に両手の指を置いた時に「ド」の鍵盤にのっているのは左手は小指、右手は親指ということになります。
このことから音階の指使いをもう一度確認してみると、右手が音階を上っていくときの12312341の指使いは左手の下ってくるときの指使いと同じです。
そして右手が音階を下ってくるときの指使いは左手の上っていくときの指使いと同じです。

もしそのことに気がついていなかったら、右手の上りと左手の下りの指使いを机の上で動かしてみてください。
同じように右手の下りと左手の上りも。
そして、 ”1.指使いの確認 ” のところで ”どうしてそのような指使いになっているのかということを理解してから弾くことはとても大切なこと” ということをもう一度思い出しながら、両手で弾くときには細心の注意を払いながら弾いてみます。

止まってしまいそうなくらいにゆっくりなテンポでも構わないと思います。
まずは指が正しい動きを覚えるまではゆっくりと根気よく!です。
そして、根気よくやっていると間違えてしまう箇所が特定されてくると思います。
その箇所は例えば右手の指のある動きによって左手の指がつられて間違った指がいってしまうといったことが原因の一つにあると思います。
間違えてしまう特定の箇所は特に意識をしながら、両手にしたときに右手は右手の動き、左手は左手の動きとして指がなめらかに動くようになるまで丁寧に練習していると必ず両手で弾けるようになると思います。

音階の練習。
ハ長調を例に取り上げてお話しましたが、音は簡単でも正しく弾くことが以外にも難しいということがお分かりいただけたと思います。
完全に脱力した状態での人間の手は自然な緩いカーブがついた形になっています。(寝ている人の手を見る機会があれば見てみてください)
これをすっと鍵盤の上にのせた時にはハ長調のような黒鍵を使わない調よりもむしろ黒鍵を使うことの多い、変二長調や変ト長調の方が手の形が鍵盤にフィットして自然な手の形をキープしながら弾きやすく、ハ長調と指使いは異なりますが黒鍵と白鍵とのバランスの関係で指使いを間違えることは少ないように思います。
どの音階から練習するかは決まりはないので、覚えやすい調から練習するといいと思います。


さいごに・・・

何か問題が生じたときに必ず立ち止まってその都度考えたり、自分の中で目標を作ってから練習に入る。

堅苦しい感じのことを言ってしまいましたが、大切なことだと思います。
丁寧に練習して身につけたものは自分だけの宝物になり、新しい課題に取り組んだ時にそれを生かすことができます。
そうして丁寧に身に着けたものがだんだん増えていき、少しずつ自信にもつながっていくのだと思います。
音階がきれいに正しく弾けるようになったときにはこの先もピアノの練習をしていく上で何らかのヒントにつながることがあるように思います。

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