言葉のマジック ~たった1回で弾けた!~

こんにちは♪

2、3日前のレッスンでのことです。
以前にもお話ししましたが、私は音階の練習の課題を可能な限りすべての生徒さんに出すようにしています。
1週間でなんなくこなしてしまう子もいれば、一つの音階が弾けるようになるまで2週間、3週間とかかる子もいます。
今日は音階がさらっと弾けるようになる「言葉のマジック」を発見したので、そのことをお話ししたいと思います。

 

どうしても弾けない

最近音階の練習を始めるようになった子がいて、一番初めのハ長調を練習しています。
始めは片手ずつ練習をして慣れてきたら両手にするのですが、この両手がどうしても上手く弾くことができません。
片手ずつは何の問題もなく上手く弾けるのですが・・・

そうです。
右手と左手の指は左右対称になっているので、右手と左手の指使いは当然違います。
両手にした時にどちらか一方にだけ注意を注いでいると、もう片方の指使いを間違えてしまうのです。

 

時間をかけて根気よく

右手と左手の指が左右対称になっていることを自然と受け入れて、さらっと弾いてしまう子もいます。
それが上手くいかない子の場合は、音符の上に一つ一つ書かれた右手と左手の指使いの中で、指をくぐらせたり指を越えたりする箇所には目立つように赤色で○をつけて目立つようにしておきます。

片手ずつの練習に時間をかけ右手と左手の指の動きの違いに注意を注ぎ、指使いを覚えるまでそのノートを見ながらとにかく根気よく練習すること。
そして両手にした時にはどちらか片方ではなく、両手に注意を注ぎながらゆっくりと弾くことが大切だと思います。

その両手の練習で私がいつも子どもに投げかける言葉が・・・

「いい?右手も左手もノートに書いてある指使いを一つ一つよ~く見ながらゆっくりと弾いてみてね」

「あ、ここはその指じゃなかったね。よし!もう一度がんばってみよう!」

と、こんな感じです。

こんなやりとりの中、何回もやっていると不器用ながらも右手と左手の動きにも慣れてきて、そのうちスムーズな動きで弾けるようになってきます。

それでもこの言葉がけで上手くいかない子も中にはいます。
「右手と左手の指使いをもっと気をつけて注意深く見て弾いてごらん」

この「注意深く」「気をつけて」がどうやら伝わっていないようなのです。

 

今までレッスンで使ったことのない言葉を投げかけてみました

「絶対に間違えて弾かないように」
とても厳しい言葉ですね。
この言葉は好きではありません。
レッスンでこのような言い方をしたことは今までに一度もありません。

私自身そんな演奏することに自信がありませんし、自分にもできないことを生徒さんには言えません。
でも、この日ふと思いつき言ってみました。

「絶対に一つも間違えないように弾いてごらん。ただし速く弾く必要はないよ。絶対に間違えないでひける速さで、それがすご~くゆっくりでも大丈夫だから。」

そしたら、何回も何回も指使いを間違えて弾いていた子が1回で弾けてしまったんです!

「わぁ~!! できたねっ!!」
もう、それはそれは大げさなくらいに褒めてあげました。

「もう1回聴かせて」
先ほどと同じように弾けています。
観察していると、ものすごく注意深く気をつけながら弾いています。

そうなんです。
「注意深く」とか「気をつけて」ということを「絶対に間違えないように」と言葉を置き換えることによって、その子は注意深く、気をつけて弾くことができたのです。

 

理解できる言葉の使い方

これは言葉のマジックだと思いました。
試しに、その子以外にも2~3人の子にこの言葉を投げかけてみたのですが、上手くいきました。

「絶対に間違えて弾かないように」
私の中では禁句な言葉だと思っていたのですが、この言葉に効果があるとは・・・

ただし、この言葉には注意が必要だと思いました。
「絶対に間違えて弾かないように」とだけ言ってしまうとやはり厳しく、子どもにとってはプレッシャー的なものを感じ、委縮してしまう場合も考えられます。
必ずいつもよりももっと笑顔で、「弾ける速さで、ものすごくゆっくりで大丈夫」の言葉とセットで使うことで子どもはリラックスして集中することができると思います。
そして、できた時には大げさなくらいに褒めてあげ、まずは自信をつけさせてあげること。

言葉の受け取り方や理解の仕方は人それぞれです。
当然理解できるであろうとこちらが思って言っていても、それが絶対とは限らないのですね。
ましてや相手は子どもです。
レッスンの中で細かく丁寧に説明し、何度やっても上手くいかないという時には、言葉の使い方を変えてみるだけでスッと解決することがあるのかもしれません。

 

最後に

「絶対に間違えて弾かないように」
今回のレッスンでは音階の練習で使ってみたのですが、曲のレッスンの時にもどうしても上手くいかないところは使ってみようと思いました。
ただし、乱用しないように。
リラックスする言葉と一緒に、いつもよりもうんと笑顔で(^v^)

ピアノの練習に音階の練習は必要か ~その1 音階練習の仕方~
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