バイエル51番 ~ポジション移動を覚えよう~
こんにちは。
バイエルの51番を見ていきたいと思います。
【練習の前に確認しておきたいこと】
・4分の4拍子
・Moderato(モデラート:中くらいのテンポで)
練習のポイントは右手のポジション移動
バイエル50番までの右手に出てくる音は・・・
32番~34番、37番~40番→ソラシドレ
41番~43番→ラシドレミ
その他→ドレミファソ
50番までに出てくる右手の音はすべて隣り合う5つの音のみなので、ポジション移動することなく弾くことができます。
ところが51番では ”シドレミファソ” の6つの音が出てきます。
なので12345の指はどこかで移動させなければなりません。
51番の右手の練習は指がどのように移動するのかということを予備練習してから楽譜に書かれた音を練習するようにすると簡単です。
右手 予備練習 ポジションを覚える
51番は2つのポジションを覚えることによって弾きやすくなります。
① 青色のポジションは右手の12345の指がドレミファソの上にのっています。
② 赤色のポジションは右手の12345の指がシドレミファの上にのっています。
この①と②のポジションをまず覚えます。
①青色のポジションから②赤色のポジション、②赤色のポジションから①青色のポジションという風に手全体を交互にスライドさせて移動してみてください。
交互に鍵盤1つ分移動させるだけなので、すぐにできると思います。
ただ、気を抜いてしまうと鍵盤1つ分よりも行き過ぎてしまったりするので、 ”鍵盤1つ分” ということを意識して何度も交互に移動させて鍵盤1つ分だけ動く手の動きを感覚で覚えてしまうようにしてみてください。
右手の練習 ポジション移動する場所の確認
楽譜を見て右手の練習をするには2通りのポジション移動に気をつけるだけで、最後まで楽に弾いていくことができます。
①・・・青色のポジション
②・・・赤色のポジション
以下、①②のみの記載。
1つ目のポジション移動
1小節目から2小節目の2拍目裏拍のレの音まで①のポジションで弾いたら、その次の2分音符シの音を1番の指で弾くと同時に5本の指は②のポジションに移動する。
9小節目から10小節目にかけても同じ。
2つ目のポジション移動
3小節目1拍目のドの音から5小節目1拍目のファの音まで②のポジションで弾いたら、その次の2拍目レの音を2番の指で弾くと同時に5本の指は①のポジションに移動する。
ポジション移動はこの2通りしかありません。
ポジション移動した後は、次にポジション移動があるまではずっとそのままのポジションで弾いていくことができます。
ところが、このポジション移動のことを考えずに弾いてしまうと51番の右手はなかなか上手くいきません。
例えば3、4小節目。
ここは②のポジションで弾きますが3小節目の始めのドの音を1番の指に変えて弾いてしまい、そのため4小節目の始めのシの音から後の部分が弾きにくくなってしまうといったことがよくあります。
どうして1番の指に変えてしまうのかというと、ドの音から始まるフレーズを弾くときには ”1番の指から弾き始める” ということに慣れてしまっているため、無意識にドの音を1番の指に変えてしまうのが原因の一つだと考えられます。
3、4小節は、シドレミファ5つの音からなるフレーズを②のポジションで弾くことに違和感を感じることなく弾けるようになるまで、繰り返し練習することによって慣れてくると思います。
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ポジション移動する直前の指の動きにも注意
前項でお話したポジション移動。
ポジション移動をなめらかに、スムーズにするためにもう一つ気をつけておかなければならないことがあります。
指広げ(指を広げる)
2小節目2拍目の裏拍のレの音から次の2分音符のシの音を弾くとき。
ここは3度の開きのある音を隣同士の指で弾くことになるので、3度の開き分1番と2番の指を広げることになります。
指寄せ(指を寄せる)
5小節目の1拍目のファの音から次のレの音を弾くとき。
ここは3度の音を5番と3番の指ではなく、5番と2番の指で弾くので指を寄せてきて弾くことになります。
前項でお話した1つ目のポジション移動は①のポジションで ”指広げ” をした直後に②のポジションに移動となり、2つ目のポジション移動は②のポジションで ”指寄せ” をした直後に①のポジションに移動となります。
この指広げや指寄せも気をつけたいポイントです。
ポジション移動とフレーズ
ポジション移動は手や指を動かすことに関することです。
フレーズをとることはポジション移動とは別で表現に関することです。
ポジション移動のことだけに集中してしまうと例えば2小節目から3小節目に移るときにブレスを忘れてしまったり、フレーズのことだけに集中してしまうとブレスをとった後に3小節目の初めの音を2番ではなく1番の指に置き換えてしまったりしがちです。
ポジション移動とフレーズ、それぞれ2つのことに気をつけながら練習することも大切です。
左手の練習
1小節~4小節
すべての音をつなげて弾いてしまうのではなく、2小節目2拍目のスラーのかかった音を弾く直前にブレス、4小節目2拍目のスラーのかかった音を弾く直前にブレス。
そうすると、引き締まって聴こえると思います。
9小節~12小節も同じです。
5小節~8小節
5小節から8小節の1拍目までスラーがかかっています。
そして、ソの音がずっと一つ置きに出てきていて、その間に音の動きがあります。
その動いている音をよく聴きながら弾くようにするときれいです。
ずっと動かないソの音に力が入ってしまうとソの音だけが目立ってしまいバランスが悪くなると思います。
スラーの最後は1オクターブ飛躍しています。
真ん中のソから低いソに移るときに力が入ってしまい、真ん中のソの音にアクセントがついてしまいがちです。
また、手が小さくて1オクターブが届かない場合は真ん中のソの音をスタッカートのように切ってしまわないように。
指が届かない場合は2つの音がつながって聴こえるように意識しながら腕全体を移動させるようにすると上手くいくと思います。
スラーの最後の低いソの音を弾いたら、また真ん中のソへと飛躍しますがこの時はつながずブレスを入れます。
最後に
51番の右手には、これまでにない新しいことが出てきました。
・ポジション移動
・指広げ
・指寄席
これらは、51番以降も出てきます。
51番を丁寧に練習しておくと、この後同じような弾き方が出てきても迷うことなく応用して弾いていくことができると思います。