バイエル46番
こんにちは。
今日はバイエル46番を見ていこうと思います。
バイエル46番
【練習の前に確認しておきたいこと】
・ハ長調
・4分の4拍子
・Comodo
・左手のポジション移動
ねらい
右手は音のつぶをそろえてなめらかに弾く練習、左手はアルベルティ・バスの練習だと思います。
アルベルティ・バスとは左手1小節のドソミソや3小節シソレソのような伴奏の形を言います。
46番の前にも21番と31番にアルベルティ・バスは出てきますが、どちらも使われているのはドソミソのみでポジション移動もなく、使われているのもほんの少し。
でも、46番の左手伴奏は始めから最後までドソミソとシソレソのアルベルティ・バスの連続です。
そして、ドソミソとシソレソを弾くには手のポジション移動も必要になってきます。
左手 アルベルティ・バスの練習の仕方
①和音にしてみる
左手の練習は楽譜に書いてある通りにいきなりドソミソと弾くのではなく、まず和音の形にしてみましょう。
和音とは高さの違う2つ以上の音を同時に弾くことです。
1小節目の左手のドソミソと書いてある音。
これを和音にします。
鍵盤のドの上に5番の指、ミの上に3番の指、ソの上に1番の指を置きます。
指を置いたら3つの音を同時に弾いてみます。
これが和音です。
3小節目のシソレソも同じように、シの音を5番、レの音を3番、ソの音を1番で和音にして弾いてみます。
どうですか?
3つの音を同時に鳴らすのって、簡単なようで以外に難しいですよね。
鍵盤を押さえるときは3つの音がずれることのないように同時に押さえ、鍵盤が上がるときも3つの音は同時に上がり、そして3つの音はどれか一つの音がとび出て聴こえることがないように3つの音が同じ音量で聴こえるように、耳と指の感覚に集中してみてください。
とび出て聴こえる音があるということは、その音を弾いている指に力が入りすぎているということです。
長さも太さも力の強さもそれぞれ違う小指と中指と親指で弾いていることを意識して、これらを同じタイミングで、同じ力加減にしてあげることを忘れないようにして何度も弾いているうちに3つの指はだんだんそろってきて、和音はきれいなハーモニーとなって聴こえてくるようになると思います。
それから、使っていない4番と2番の指は突っ張ることなく、力を抜いておくようにすることも大切です。
②手のポジションを覚える
①で弾いたドミソの和音はⅠの和音、シレソの和音はⅤの和音といいます。
Ⅰの和音からⅤの和音に移るとき、またⅤの和音からⅠの和音に移るときに手がどのように動いて移動するのかということを考えてみます。
Ⅰの和音とⅤの和音を交互に弾いてみると・・・
何度も交互に弾きながら指の動きをよく観察していると、どんなことに気がつくでしょうか。
赤いのがⅠの和音、青いのがⅤの和音です。
二つを見比べてみると、ソの鍵盤の上には赤も青もついています。
だから移動するときには、1番の指はソの場所から動かない方が良いです。
そして残りの5番と3番の指は、Ⅰ(赤)のポジションからそれぞれ鍵盤1つ分だけ下に移動すればⅤ(青)のポジションに移ることができます。
反対にⅤ(青)のポジションから鍵盤1つ分だけ上に移動すればⅠ(赤)のポジションに移ることができます。
このように、指は必要最小限の動きにとどめて移動させることによって二つの和音を効率よく弾くことができるのです。
アルベルティ・バスの伴奏を弾くときに音を外してしまったり、聴こえてくる音のバランスがよくなかったりするのは、この手の動きを意識せずに弾いてしまっていることが原因の一つだと思います。
まずは和音の形で指の動きに気を付けながらⅠとⅤを交互に何度も弾いてみる。
指の動きに慣れてきたら、指を見なくても感覚で和音を弾くことができるようにして手のポジションを完全に覚えてしまいましょう。
③和音を分散して弾いてみる
②の練習で手のポジションを覚えたら、和音の形をアルベルティ・バスの形にしてⅠとⅤをドソミソ→シソレソ→ドソミソ→シソレソ・・・と、交互に弾いてみます。
②で練習したことを忘れないように指は必要最小限の動きでポジション移動すること、移動するときには手首などに力を入れないようにして自然に移ることができるように。
使わない2番と4番の指も力を入れないようにリラックスして。
慣れてきたら和音の時と同じように指を見なくてもスムーズに弾くことができるようにがんばってみてください。
その時に、移動することだけを考えるのではなく音のつぶがそろっているかどうかも注意深く聴いてみてください。
④左手を楽譜通りに弾いてみる
8小節、16小節に出てくるドミソミドは形が違いますが、ポジションはドミソなので、指を動かす順番だけ間違えないように気を付ければ大丈夫なのですが、リズムが8分音符になっているので力が入ってしまい、この部分だけ音が大きくなってしまいがちです。
始めからずっと弾いてきた4分音符と同じく音量がそろうように、急に手首に力を入れたりしないように気を付けることが大切なことだと思います。
そして、いよいよ楽譜通りに弾いてみます。
③の練習でⅠとⅤを交互にスムーズに弾くことができていれば楽譜の1、2小節先を見ながら弾くことにも余裕が出てくると思います。
楽譜の1、2小節先を見ながら集中して臨めば、楽譜の始めから最後まで一度も間違えずに弾くことだってできるかもしれません。
是非トライしてみてください!
右手の練習で気を付けること
①44番での練習を思い出してみましょう。
右手は音のつぶをそろえてなめらかに聴こえるように気を付けます。
右手に出てくる音はドレミファソの5つの音のみなので、ポジションを移動することはありません。
5本の指はドレミファソの鍵盤の上に置いたまま、指は余分な動きをしないように。
これらのことは、44番の練習のところで書いています。
②フレーズを感じることを忘れずに
スラーのかかり方をよく見て弾くこと。
スラーが終わっている音の後はブレス(息継ぎ)をとるようにします。
その時にブレスをとるタイミングが早すぎるとスラーが終わっている音の長さが短くなってしまうので注意が必要です。
例えば、2小節目3拍目に出てくるのソの音でスラーが終わっていますが、ソの音は2分音符なので2拍分の長さをよく聴いた後にタイミングよくブレスをとります。
ブレスは手を上にあげることではなく、歌を歌う時にする息継ぎと同じです。
ブレスをするときに手が上がると次のフレーズに入るときに音が大きくなりすぎてしまったり、テンポがぶれて(遅れる)しまったりする原因になってしまいます。
手は上にあげずに、もっと分かりやすく言うと指は鍵盤に触れている状態のまま鍵盤だけを上にあげるようにすると自然なブレスをとることができると思います。
③タイ
高さの違う音にかかっている弧線はスラー、同じ高さの音どうし結ばれている弧線はタイです。
8小節目の1拍目の2分音符と3拍目の8分音符についているのはタイなので、1拍目の2分音符を弾いたら3拍目の8分音符は弾かずそのままのばし、次の8分音符の音を弾きます。
ここはリズムが不安定になりやすいところでもあります。
リズムがとりにくい場合は、始めはタイの音も弾いてみるといいと思います。
2分音符でドの音を2拍のばし、そのあと8分音符でドドレミと弾くのです。
これが弾けたら、タイにしてみます。
その時にタイでのばす8分音符の音は心の中で ”ド” と、歌うようにするとリズムが安定すると思います。
そしてもう一つ。
タイでのばされた音は音量が下がっていきます。
その音量よりもとび出ることなく次の音を弾くようにすると、自然な流れになっていくと思います。
46番の中で間違いが多い箇所
46番の中で間違いが多い箇所は9小節から12小節で、その中でも特に間違えてしまう箇所は12小節 右手の「レミファミ」のところです。
「レミファミ」となっているところを「レミファレ」と弾いてしまうのです。
これは、9小節の「ファミレミファレ」のファとレは音が一つ飛ばしになっていて、10小節の「ミレドレミド」のミとド、11小節の「レミファレ」のファとレも同じように音が一つ飛ばしになっています。
でも12小節の「レミファミ」のファとミは一つ飛ばしではなく隣の音です。
これを、うっかり9、10、11小節と同じように一つ飛ばしにしてしまうのだと思います。
ここは音がどのように並んでいるかを考えながら気を付けて練習するようにしたいところです。
また、11小節 12小節の右手は8分音符の連続で指を動かすので、前述したようなことに気を付けていても音を間違えて弾いてしまいがちです。
そんなときには「レミファレ ミレドミ レミファミソファミレ」と声に出して歌ってみてください。
そして声に出して歌いながら弾いてみます。
何度も繰り返しやっているうちに、読んでいる音と指が連動してきて音を間違えて弾いてしまうこともなくなると思います。
そして、もう一つ。
11小節と12小節にかけての左手は実際には音をつないで弾きますが、「シとソ」、「ドとミとソ」という風に分けて考えるようにすると弾きやすいと思います。
テンポについて
46番のテンポ設定のところ(楽譜の左上)に ”Comodo”と書いてあります。
これについては、次の47番の記事で46番(Comodo)と47番(Moderato)を比較する形で書いてみましたので、そちらを参考にしてみてください。
さいごに
この先、左手がアルベルティ・バスになっているものは以下の通りです。
55番、58番、61番、77番、88番、91番、94番、101番、102番、103番
バイエル以外にもアルベルティ・バスが伴奏になっている曲はたくさんあります。
アルベルティ・バスは、今回のこの46番と同じ要領で和音で予備練習をしてから譜面通りに弾くようにすると効率が良く、きれいに仕上がると思います。