指使いのお話し
こんにちは♪
今日は指使いのお話しをしたいと思います。
練習していてもなんだかしっくりこない、上手くいかない、なかなか弾けるようにならない・・・
そんな風に思いながら練習している時はありませんか?
なかなか上手く弾けるようにならないのには、それなりの原因があると思いますが、まずは楽譜に書いてあることを忠実に読みとって練習しているかということが一番に挙げられると思います。
楽譜には音の他にも様々な演奏記号が書いてあります。
演奏記号を注意深く守り、適切なフレージングでよく歌うこと。
それには指が自由に動かなければできません。
指が自由に動くためには、正しい指使いであることが必要不可欠です。
指使いができていないことから、楽譜に書いてある演奏記号の通りに弾くことができなくなってしまったり、適切なフレーズをとることができず、そうなればよく歌うこととは程遠いものになってしまいます。
それでも間違った指使いでも上手くいく場合があります。
でもこれはたまたま違った指使いでも弾くことができる音の並びだったということに過ぎません。
それを ”弾けた” と勘違いしたままどんどん進んでいってしまうと、いつか本当にピアノを弾くことが困難な状態に陥ってしまうと思います。
指使いはそれほど大切なものなのです。
指使の番号を正しく覚える
指の番号は、右手も左手も親指が1番です。
そして順番に人差し指が2番、中指が3番、薬指が4番、小指が5番です。
これを何故だか左手の指番号を小指から1番、2番、3番、4番、親指が5番と認識してしまう子がいます。
例えば両手でドレミファソと弾いた時に右手は12345の順番に動きますが、左手は54321の順番に動きます。
両手で弾く鍵盤のドレミファソが平行に動くので、左手は54321ではなく、右手に合わせて12345と無意識に認識してしまっている。
つまり、両手で弾くドレミファソの同じ動きと左手の指番号とを同化させてしまっているのかもしれません。
こういった間違った認識は、発見が遅くなればなるほど直しづらくなってしまうので、早くに気が付いてあげることが大切なことだと思います。
「お家の中で一番の力持ちは誰?」
「お父さん」
「そうだよね、じゃあ一番の力持ちのお父さん指は1番!」
「二番目に力持ちは?」
「おかあさん」
「じゃあお母さん指は2番」
という具合に両手のそれぞれの指を動かしながら教えてあげると小さな子は理解しやすいと思います。
同じように、3番めはお兄さん、4番目はお姉さん、5番目は赤ちゃん。
偶然にも家族の中での ”力持ち” の順番ですよね(^v^)
そして、両手でドレミファソを弾く時の始めの ”ド” の鍵盤にのっているのは右手は1番のお父さん、左手は5番の赤ちゃんということをもう一度確認します。
一回のレッスンで覚えられなかったら、その次も、その次も・・・
何回かかっても、根気よく教えてあげます。
何度も言いますが本当に指使いは大切なものです。
指使いの通りに弾けない理由
ピアノの楽譜に書いてある指番号の指示は、簡単に言うと ”この指で弾くと弾きやすいですよ” という指示です。
にもかかわらず違った指使いで弾いてしまうのは、指示された指使いでは弾きにくいから、自分の弾きやすい指使いで弾いてしまうのです。
もっと厳しい言い方をするのであれば、先のことを考えていない ”その場しのぎの指使い” ということです。
先ほど指番号の指示は ”この指で弾くと弾きやすいですよ” という指示だと言ったのに、”指示された指使いでは弾きにくいから” というのは矛盾しているようですがそうではなくて、指示された指使いでは弾きにくいからと違った指使いで弾いて上手くいったとしても、その先のパターンで弾きづらくなってしまったり、フレーズのとり方がおかしくなってしまったりするのです。
なので、指示された指使いが弾きにくいと感じても、そこは指示された指で動きやすくなるまで練習しなければなりません。
そうすることによって、その先のパターンも弾きやすくなりフレーズ感も出てくることになります。
「先生、この指番号で弾くのは弾きにくいよ」
「そうだね。○○ちゃんの指使いの方がここは弾きやすいけれど、それだとその先が弾けなくなってしまうよ。ほら・・・」
「ほんとだ!」
「だから、ここは楽譜の指示通り指使いを守って、弾きやすくなるまで練習が必要だね。」
といった具合に、どうしてこの指使いでなければいけないのか。
正しい指使いと良くない指使いの動きを鍵盤の上で試してみるということも大切なことです。
ただし、例外もあります。
楽譜で指示された指使いではどうしても上手くいかない場合があります。
これは手の大きさだったり、人によってどうしても動かしにくい指の組み合わせがあったりするからです。
その場合は指示された指使いではなく、自分にふさわしい指使いを使うのが良いと思いますが、フレーズ感を損ねることなく、また楽譜に書かれた演奏記号を忠実に守ることができる指使いを慎重に考える必要があると思います。
そして指使いを変更した場合には忘れないように必ず楽譜に書き込むことも大切なことです。
また、私がほぼすべての生徒さんに音階の練習を取り入れているのは、右手と左手の指の構造や特性をよく分かり、白鍵と黒鍵の組み合わせの違いによって、指の使い方が変わってくることの認識を高めるためでもあります。
ピアノの練習に音階の練習は必要か ~その1 音階練習の仕方~
さいごに
ピアノの練習をする時に指の番号をあまり気にしないで練習しているのであれば、まずは練習の仕方を変えてみてください。
もうずっと何年もそうしてなかった・・・
という人でも大丈夫です。
大切なのは今から練習の仕方を変えることです。
今まで指使いを気にせずに練習してきたということであれば、指使いを守りながら音をさらうのは難しく感じてしまったり、時間がかかるかもしれません。
でも、すぐに弾けるようになることにこだわるのではなく、指使い通りに弾けるまではどんなにゆっくりなテンポでも大丈夫です。
それを繰り返しているうちに、指は動きを覚えて自然とテンポも出てきます。
そして自然とテンポが出てきたということは、指はある程度自由に動く状態になってきていると思うので、少しずつ楽譜に書いてある記号やフレーズをとることに意識を傾けてみてください。
もう一度だけ言いますね♪
指使い通りに弾けるようになるまでは絶対に無理にテンポを上げたり、あきらめたりしないでくださいね。
今日できなければ明日。
明日やってその次の日もできなければ、またその次の日があります。
落ち着いて根気よく続けると指は絶対にそのように動いてくれるようになります。
そうやって覚えた指使いは、何度弾いてもそのように動いてくれるようになるだけでなく、思うように表現することも可能にしてくれます(^v^)