浮き雲 ~バスティン ピアノベーシックス ピアノ(ピアノのおけいこ)レベル1

こんにちは♪

第27回 グレンツェンピアノコンクール 地区大会、小学1・2年Aコースの課題曲になっている ”浮き雲” 。
気が付いたことや感じたこと、練習するときに気をつけたいことなどをまとめてみました。

 

練習に入る前に

練習に入る前に手のポジションを理解しておくことが大切だと思います。
26ページに ”Gメージャー(ト長調)ポジション” というのが鍵盤と大譜表で書いてあります。

ピアノの鍵盤の ”真ん中のド” の場所がきちんと理解できていない場合は、まずそこから。
真ん中のドの場所をきちんと覚えたら、真ん中のドからドレミファソと上がったソの音に右手の1番を置いてその次のラシドレに2345の指を順番に置きます。
左手は真ん中のドからドシラソと下がったソの音に5番の指を置いて、その次のラシドレに4321の指を順番に置きます。

他の所でも同じことを書きましたが、正しいポジションに手を置くことはとても重要なことです。
幼児や小学低学年の子は体も小さく、88鍵あるピアノの鍵盤は大人が思う以上にとてもたくさん並んでいるように見えています。

ピアノの椅子に座ってなんとなくの感覚で手を置いてしまい、弾く場所をオクターブ間違えてしまったということはしばしば起こりうることです。

いつも真ん中のドの場所から数えて正しいポジションに手を置く。
それから演奏を始める。
普段の練習から習慣づけておくようにすると、本番のステージでも迷うことなく落ち着いて演奏を始めることができると思います。

 

浮き雲

ト長調、4分の2拍子、moderato(モデラート:中くらいのテンポで)

A(1小節目~8小節目)
1小節目~4小節目 → a
5小節目~8小節目 → a’

B(9小節目~16小節目)
9小節目~12小節目 → b
13小節目~16小節目 → a’’

というように、AとBに大きく二つに分かれていて、さらにそれが4小節ずつのフレーズ(a、a’、b、a’’)から成っています。

手のこと

前述したように、まず手を正しいポジションに置きます。
この曲はポジションの移動がありません。
なので、一度正しいポジションに手を置いたら最後まで手を移動させることなく弾けるという事です。
そのことをきちんと把握しておくこと。

それから鍵盤に置いた手は自然な形であること。
10本の指のうち、どれかの指だけに特別力が入っていたりしないように。
これは、なめらかにメロディーを弾く時には特に大切なことだと思います。

大きな手の大人がこのポジションに手を置くことはとても容易です。
でも低学年の子はまだ手が小さいです。
5本の指を鍵盤に乗せた場合に、手がいっぱいいっぱいになってしまう子も多いかと思います。

そのせいからなのか、右手も左手も1の指(親指)が鍵盤から落ちてしまう場合があります。
手が極度に小さい場合、これも仕方がないのかなとも思うのですが、1の指を使うたびに鍵盤の上に1の指を持ってきてという動作は自然なメロディーラインが奏でにくいです。

肩は楽に、肘もやわらかく保ち、手首は固くしないように右手、左手のそれぞれの手はつっぱった状態にならないように。
そうした時に鍵盤に指が届かない場合は、無理矢理指だけで鍵盤をとらえることがないように腕、手首の動きも取り入れながら弾くようにするといいと思います。

そうですね、やっぱりこの動きを上手く取り入れて1の指は鍵盤から落ちないようにしたいものです。

 

メロディー

楽譜にはp、mp、mf、f、その他にもクレッシェンドやディミヌエンド(デクレッシェンド)などの強弱記号が書かれています。
この記号をよく見て楽譜に書いてある通り守って弾くということは大切なことですね。
でも、それを機械的に覚えるのではなく、この曲の題名「浮き雲」の様をイメージしてみたり、音型、メロディーラインがどのように変化していっているかなどを考えながら弾くと、自然に楽譜に書いてある通りの強弱がついてくるかと思います。

浮き雲・・・空に浮かんで漂う雲のこと。
漂う・・・空中や水にふわふわと浮いていること。

空に浮かんでいる雲。
どんな雲を思い浮かべますか?

楽譜にとてもかわいらしい雲の挿絵がついています。
ピンク色でふくよかなニコニコと微笑んでいる雲。
風もなくポカポカと暖かいお天気の日にふんわりと浮かんでいる雲なのかな・・・
紫色で風を吹きだしている雲。
ちょっとお日様が隠れてしまって風も出てきたのかな・・・

aとa’から成るAのメロディーはピンク色の雲。
3度の開きがある形のメロディーはごつごつとしないようになめらかに。

aのメロディーは優しくpで始まり、4小節にかけてクレッシェンドしますが、このクレッシェンドはあまり大きくしすぎない方がいいような気がします。

a’のメロディーはaの時と同じくpから始めて2小節でクレッシェンド、その後の2小節でディミヌエンド。
この時のクレッシェンドはaの時よりも少し大きめにクレッシェンドをかけて、”音量がだんだん大きくなる” から ”音量がだんだん小さくなる” の変化を表現したいところです。
ただし全体の音量はpなので、あまり過度すぎるクレッシェンドにはならないように。

また、a’は左手から右手ににかけてのメロディーラインがごつごつしないように、なめらかに移ることができるといいですね。

bのメロディーは紫色の雲。
ちょっと風が吹いてきてお日様もかくれちゃった・・・
雲はどこへ流れていくのかな。

始めの9小節目、10小節目はmp(ちょっと風が吹いてきた)
その次の11小節目、12小節目は始めの2小節よりも一音上がったところから始まりmf(もっと強い風が吹いてきた)

このmpとmfの音量の区別も明確に表現できるといいですね。
スラーで書かれた最後の音は、もたれるようにしてしまうとそこだけ音が大きくなってしまうことがあるので注意したいところです。

それから音の長さも正確に。
スラーの最後の4分音符は短くなってしまいがちなので、1拍の長さをよく聴いてからタイミングよくブレスをとって次のメロディーに移るように。

最後のa’’のメロディーはピンク色の雲。
風も止んでまたお日様もでてきたよ!

始めの2小節はfで、明るく。
また、a’’ は a、a’と音型が違っていますね。
レシソシとなっているメロディーの3つ目のソの音は1の指で弾きますが、この音にアクセントがついてしまわないように、なめらかなメロディーラインに仕上げたいところです。

最後の2小節はテンポを少し落ち着かせるとともにディミヌエンドをかけてpで終わります。
p(ピアノ)の記号を見ると、ただただ音を小さく弾いてしまいがちになりますが、pの記号が書いてあるソの音だけが小さくなりすぎないように、前の音からだんだんディミヌエンドしてくる音量に合わせて小さくするのが良いバランスだと思います。

また、2小節にかけてのリタルダンドも、ritの記号が書いてあるところからいきなりテンポを緩めるのではなく、ritの記号がかいてあるところから徐々にテンポを緩めるようにすると自然な終わり方になります。

例えるなら・・・
車の運転で急ブレーキをかけて止まるのではなく、ブレーキを上手く使いながら徐々に速度を落として静かに止まるような感じです。
自転車であれば、キュッとブレーキをかけるのではなく、ゆっくりとブレーキをかける感じです。

 

左手の伴奏

7小節目から8小節目にかけてスラーで結ばれた音はなめらかに弾くことが難しいと思います。
7小節目のドの音はメロディーの音よりも大きくならないようにしたいですが、そればかりを気にして小さくしてしまうと次の8小節目の音の方が必然的に大きくなってしまいます。

メロディーとのバランスに気をつけながら、ある程度の音量を出したら次の8小節目の音で自然に音量を下げるようにコントロールしたいです。
また、8小節目の音は和音になっていますが、この二つの音がばらけないように、良くそろえることも大切だと思います。

7小節目の音を弾いたら手や指には余分な力は入れないように保っておいて、次にくる二つの和音は 5と3の指に集中して、”弾く” というよりも ”鍵盤を下げる” というイメージで取り組むと上手くいくような気がします。

それから、7小節目と8小節目の左手の伴奏は、その直前の5小節目、6小節目でメロディーを弾いているので6小節目から7小節目に移るときの役割の切り替えも大切になってきますね。

12小節目に出てくるドとレのⅤ7の和音。
隣どうしの音は何も考えないで弾いてしまうとぶつかり合っているかのように聴こえてしまいます。二つの音それぞれをよく聴きながら、二つの音がきれいに溶けあい、美しいハーモニーになるように工夫したいところですね。

 

さいごに・・・

ピアノの演奏の解釈は様々なので、ここに書いたのはあくまでも私自身が感じたこととして受け止めていただきたいと思います。

たくさんのことを書いてしまいましたが、どれだけのことができるか。
これにはかなりの個人差があります。

教える側からしたらあれもこれもとたくさんのことを要求してしまいがちなのですが、そうではなく生徒さんのペースに合わせてできることから少しずつ進めていくこと、そしてここに書いたこと全てができたら良くて、そうでなければ良くないということではなく、一つのことができるようになったことに対して認めてあげること。
その過程を大切にして、レッスンをしていきたいと思っています。

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