ワルツ ~バスティン ピアノレッスン レベル1~
こんにちは♪
第27回 グレンツェンピアノコンクール 地区大会、幼児Aコースの課題曲になっている ”ワルツ” 。
気が付いたことや感じたこと、練習するときに気をつけたいことなどをまとめてみました。
ワルツ バスティン ピアノレッスン レベル1(東音)
バスティン ピアノレッスン レベル1
はじめに、幼児Aコースの課題曲が収録されている ”バスティン ピアノレッスン レベル1” について少しお話ししたいと思います。
バスティン ピアノ レッスン レベル1は、ゆったりとした内容に構成されているため、はじめてピアノのレッスンをする子に理解しやすく、1つ1つの単元とじっくりと向き合い習得していくことができる教則本です。
理解力や演奏能力には個人差があります。
レッスンをその子のペースに合わせていくことは大切なことで、この教則本はゆっくりなペースの子でも達成感が得られ、自身がついていくと思います。
この教則本は4ページから始まり、47ページまであるのですが、すべて以下のような内容で構成されています。
使われている調性・・・ハ長調、へ長陽、ト長調
使われている和音・・・Ⅰ、Ⅴ7
そして30ページまではポジション移動もありません。
ハ長調、へ長調、ト長調の手のポジション、それぞれのⅠとⅤ7の和音が理解できれば難なく弾きこなせると思います。
また、それらに限定された曲が繰り返され、何曲もこなしていくうちにその単元が定着していきます。
何曲もこなすというと大変そうなイメージですが、一番短いもので4小節、長くても16小節の曲なので無理なくこなしていけそうです。
何曲もこなすと自然と達成感が生まれ、子どものヤル気が育っていきますね。
そして31ページから47ページではポジション移動が出てきます。
ハ長調のⅠ度、へ長調のⅠ度、ト長調のⅠ度をつなげた和音進行でポジション移動の練習、そしてポジション移動が出てくる曲中に少しずつ新しいことを覚えていきます。
例えばナチュラル、アクセント、フェルマータの記号を覚えたり、付点リズムの練習、最後は少しだけダンパーペダルの練習。
一番最後の1曲にはペダル記号があり、手の交差もあります。
ペダルで音を響かせながら、手の交差もするとなんだか急に上手になったような気がして、その先も楽しくピアノを続けていけそうですね。
課題曲の練習に入る前に
課題曲を ”ワルツ” に決めて、バスティン ピアノ レッスン レベル1を初めて手にされた方も多いと思いますが、前述したようなことを踏まえた上で取り組んでいただくと、課題曲を練習する時にどんなことに気をつけて練習したらよいのかが見えてきます。
ワルツはハ長調、4分の3拍子。ポジション移動はありません。
このことをきちんと把握するために、まずは6ページから8ページにある練習をすると課題曲の練習にスムーズに入っていけると思います。
6ページ ”ハ長調(Cメジャー)・五本指の位置(ポジション)” の項で、まずは右手と左手のポジションをしっかりと覚えることが大切です。
右手は真ん中のドの音から順番に12345の指を置き、左手はその1オクターブ下のドの音から54321の指を置きますね。
就学前の小さな子の場合、88鍵ものたくさんの数の鍵盤を前にして真ん中のドの場所が分からなくなってしまう場合もしばしばあります。
練習の時には改めて真ん中のドの場所をきちんと把握するようにするといいと思います。
そして、真ん中のドの音の位置確認とともに右手と左手を正しい場所に置き、6、7ページにある ”ハ長調(Cメジャー)・五本指の位置(ポジション)” の曲をまず練習します。
8ページ ”ハ長調 Ⅰ・Ⅴ7の和音(Cメジャー・コード)” ではⅠとⅤ7のコード進行についてです。
左手でⅠとⅤ7の和音を弾く練習があり、Ⅰの和音は531の指を使いますが、始めのうちはこの3つの指を使って3和音を同時に弾くことは困難かもしれません。
まだ手が小さく指の力も弱い、そしてそれぞれの指の独立も不十分な幼児の子にとって3つの音を同時に弾くという事は大人が考えている以上に大変なことだと思います。
でもこの練習を毎日続けることで音がだんだんそろってきます。
左手でⅠとⅤ7だけを弾く練習は機械的で退屈なものになってしまいがちなので、楽しいお話や励ましの言葉も交えながら、すぐにできることを期待せずに気長に根気よく続けることが大切です。
音がだんだんそろってきたら、Ⅰの和音はどんな感じに音が響いているか、Ⅴ7の和音を弾くとどんな感じがするかなど話ながら弾いてみるのもいいですね。
そしてこの練習で左手がスムーズに動くようになってきたら次にある予備練習です。
この時にも前項と同様、真ん中のドの位置と正しいポジションに手を置くことを忘れないように注意します。
予備練習では右手はメロディで左手は伴奏であることを認識することが重要です。
メロディがよく聴こえ、伴奏がそれを邪魔することなく、でも伴奏は小さすぎず、いろんな音量で弾きながらどのバランスがきれいに聴こえるかを探っていきます。
このように6ページから8ページまでを丁寧に練習したあとに課題曲の ”ワルツ” を見てみると、子どもは初めて見る楽譜なのに親近感がわいてきて、”ワルツ” の楽譜を見ながら、「あ、この和音って何度の和音だったっけ?見たことあるよね。」とか「手を置く練習やったよね。もう一度手をおいてごらん。この曲、同じようにして弾けるんだよ。」など、話しながら楽譜を一緒に見てあげると子どもは自信をもって練習に入っていくことができると思います。
そして、練習に余裕がある場合には9ページと10ページの練習をするのもお勧めです。
ワルツ
ポイントは手のポジションを正しい場所に置いていることと、自由に動く左手でのⅠ・Ⅴ7の動きです。
そして左手から右手に渡って構成されている1小節~4小節、9小節~12小節、13小節~16小節のメロディを美しくなめらかに弾くということもこの曲のポイントになってくると思います。
1小節~8小節の前半と9小節~16小節の後半とに大きく2つに分けて、前半と後半の違いをよく考えながら弾くようにすると、暗譜の時に前半と後半のメロディが混同してしまうことがなくなります。
メロディはひとまとまりに、なめらかに
1小節~4小節にあるメロディはスラーでつながれた4小節分を大きな一つのまとまりとして捉えます。
楽譜の初めにフォルテの記号があり、メロディは1小節目の左手のドミソ2小節目の右手のドミソという風に低い音からだんだん音が上がっていっています。
フォルテの記号が書いてあると一つ一つの音を力強く弾いてしまいがちですが、それではメロディに流れが出てきません。
フォルテの記号に惑わされて一番初めの音からがんばって強く弾いてしまわないように、一番初めの音はがんばりすぎず、一番低い音から一番高い音に向っていくように。
ドミソドミソと音が上がるにつれてクレッシェンドしていくようなイメージです。
一番低い音はがんばりすぎないようにと言っても強弱記号はフォルテなので弱くしすぎないように。
始めの音はがんばりすぎないように全体的にフォルテに聴こえるようなバランスです。
それから1小節目の左手から2小節目の右手に移るときには、1の指にもたれるように弾いてしまうと、その音だけが強く強調されたようなバランスになってしまいます。
指の都合ではなく、メロディの流れ方が優先されるように音をよく聴きながら弾くことが大切だと思います。
また4、6、8、12小節目の右手の付点2分音符。
付点2分音符の後にはブレスが入るので、この音は短くなってしまいがちです。
3拍分の音の長さをよく聴いてから次のメロディに移ることができるようにしたいところです。
3拍の音の長さを十分に聴きながら、次のメロディに移るときに手を上に上げすぎないようにすると上手く移ることができると思います。
左手の伴奏とスタッカートの意味
メロディがきれいに流れるようになったら、左手の和音の伴奏をつけます。
伴奏は16小節目以外はすべてスタッカートです。
スタッカートの意味は?
と問われたら何と答えたらいいでしょうか・・・
音楽辞書には ”音を明瞭に分離して弾くこと” としてあります。
これは記号の意味として ”音を明瞭に分離して弾くこと” ということであって、演奏する曲によってスタッカートのニュアンスは様々です。
ここに出てくるスタッカートは伴奏についたスタッカートで、4分音符という1拍の長さの音符についています。
なので極端に短くはねないように、でも1拍の長さを意識するあまりに押さえつけるようなスタッカートにもならないように。
また3拍子の弱拍の部分についているので、そのことも忘れないように。
例えるなら、優しくボールつきをするようなイメージに近いと思います。
この時、鍵盤の上から手を振り落さないことにも注意が必要です。
スタッカートは鍵盤を触っている状態から慌てないで優しくはねてあげるようにすると、角のない響きのこの曲の伴奏にふさわしいスタッカートの和音に仕上がると思います。
手首を硬くしないようにして、ポンポンとボールをつくようなイメージです。
これは上手くできるようになるまで時間がかかると思いますが、あきらめないで根気強くがんばってほしいところです。
メロディと伴奏の音量のバランスとテンポ
楽譜には左手伴奏のところにピアノの強弱記号が書いてあります。
とても分かりやすいですね。
でも、これはただ単に ”左手は小さく” とだけ解釈するのではなく、先ほどのことに気をつけながら弾いたメロディの音量にバランスよくつけてあげることが大切です。
テンポは楽譜に ”アレグレット(少し速く)” の表示があります。
この速度表示も解釈が難しいと思いますが、スラーのかかったメロディをひとまとまりにして捉えるようにすると、遅いテンポや極端に速いテンポにはならないはずです。
速めのテンポを意識しすぎるのではなく、まとまったメロディが心地よく流れ、弾いている本人も心地よさを感じることができるテンポがこの曲にふさわしいテンポなのだと思います。
いろいろなテンポで弾いてみて、どんな感じがするか試してみるのもいいですね。
曲の最後の終わり方(16小節目)は、3拍目で右手も左手も4分休符をとることを忘れないように。
休符をとるときに、手に余分な力が入ってしまいがちなのですが、右手と左手で音をのばしている状態から余分な力を入れないで鍵盤から手を離すようにすると終わり方がきれいです。
また、鍵盤から手を離す時には右手と左手をよくそろえて離すようにすることも大切です。
さいごに・・・
ピアノの演奏の解釈は様々なので、ここに書いたのはあくまでも私自身が感じたこととして受け止めていただきたいと思います。
たくさんのことを書いてしまいましたが、就学前の幼児の子にどれだけのことができるか。
これにはかなりの個人差があります。
教える側からしたらあれもこれもとたくさんのことを要求してしまいがちなのですが、そうではなく生徒さんのペースに合わせてできることから少しずつ進めていくこと、そしてここに書いたこと全てができたら良くて、そうでなければ良くないということではなく、一つのことができるようになったことに対して認めてあげること。
その過程を大切にして、レッスンをしていきたいと思っています。
こんばんは。
このようなピアノの難しいことは分かりませんが、息子がピアノを習い始めて1年になります。
少しずつ発表会とか増えてきて、聴き手も楽しくなってきました。
色々勉強させてもらいます。
こんばんは。
コメント、ありがとうございます。
今回の記事はちょっといろいろと語りすぎてしまいました^^;
息子さんがピアノを習っていることは以前もお聞きしたことがありますが、
もう1年ですか。
子どもの1年、1年は早いですね。
これからもっといろいろな曲が弾けるようになって、ますます楽しみですね♪
パパはピアノのことは分からなくても、一生懸命応援してあげてくださいね(^v^)
少し前の「題名のない音楽会」で、スタッカートは『特別な音にする』とか言ってましたね。少しわかりにくいですが、単純に短い音を出す、というのとは違うよ、というニュアンスでした。声楽でも「ブレスも歌の一部」と言われましたし、同じことだと思いました。
こんにちは。
コメントありがとうございます。
「題名のない音楽会」見逃していました^^;
スタッカートのことを言っていたんですね。
おっしゃる通り「特別な音」ですね。
その跳ね方というのは本当に様々で、曲にふさわしい奏法やニュアンスを作り出すのはとても大切なことだと思います。
そう、声楽のブレス!
これもフレーズのとり方や曲の雰囲気によって様々だと思います(^v^)