ジングルベル Jingle Bells ~5指ポジションで弾く FUN! FUN! ピアノステージ1 (ソロと伴奏)~
こんにちは♪
第28回 グレンツェンピアノコンクール 予選、幼児Bコースの課題曲。
曲名 (12) ジングルベル Jingle Bells
曲集 5指ポジションで弾く FUN! FUN! ピアノステージ1 (ソロと伴奏)
気が付いたことや感じたこと、練習するときに気をつけたいことなどをまとめてみました。
ジングルベル Jingle Bells
ハ長調、4分の4拍子、たのしく
前半(1小節目~8小節目)
1小節目~4小節目 → a
5小節目~8小節目 → b
後半(9小節目~16小節目)
9小節目~12小節目 → a
13小節目~16小節目 → b’
5指ポジションで弾く FUN! FUN! ピアノステージ1 (ソロと伴奏)は、幼児の子であれば大抵知っている、または聞いたことがある曲目が多数収録されていてピアノの練習が楽しくなる1冊だと思います。
この曲集については、コチラに書いています。
正しい場所に手を置くこと
正しい場所に手を置いて演奏前の準備をすることと、全部で88鍵ある鍵盤と五線に書かれた音との関連付けはとても大切です。
まだ今は出てくる音の数は少ないですが、教則本など進んでいくにつれて音の数はどんどん増えていきます。
出てくる音の数が増えていき、ある日突然迷ってしまうことのないように、鍵盤と五線の音との関連付けは今からきちんと覚えて、いつもそれを意識した練習を心がけたいものですね。
弾く前に手や指が準備されていること
楽譜の始めに ”ひきはじめポジション” が書いてあります。
鍵盤の図とともに右手と左手の指番号も書いてあり、とても分かりやすいですね。
この ”ひきはじめポジション” の図の通りに、指を鍵盤の上に置きます。
曲の初めから最後までずっと同じポジションであれば、最後まで同じ場所に指を置いておけば良いのですが、この曲は ”ひきはじめポジション” の図の通りに弾くことができるのは右手は14小節目の2拍目まで、左手は6小節目までで、その後は指を少し移動させなければいけません。
この時に大切なのは ”弾く前に手や指が準備されていること” です。
どういうことかと言うとピアノの音を出す一連の動作は、
①指を鍵盤の正しい場所に準備する
②打鍵する
当たり前のように思いますが、これがなかなか簡単なようで難しい場合があって、ポジション移動があった時など、手や指の移動と同時に打鍵してしまいがちになってしまいます。
①がなく、移動するのと同時に②をしてしまうと、例えば不必要なアクセントがついてしまう、思い描いているような音色が表現できない、ミスタッチを引き起こしてしまうなどといった不具合が起こる可能性が大きくなります。
具体的に見てみましょう。
【右手】
14小節目の3拍目、ド♯とミの和音はまず、ひきはじめポジションの位置から、1の指を少し移動させなければならないこと、そして1の指で黒鍵、3の指で白鍵を弾くためバランスがとりづらく、二つの音をそろえて弾くのが難しいです。
やってしまいがちなのが、2拍目のスタッカートのついたミの音をはねたあと、上から手を落とすようにして3拍目の和音を弾いてしまうことです。
こうしてしまうと3拍目の和音は上から手を落とすことによって割れたような音色になってしまったり、手を落とした場所がもしずれてしまった場合ミスタッチにもつながってしまいます。
ここの箇所はまず、2拍目のミのスタッカートは手を高く上げすぎず、3拍目の和音に入る前に鍵盤の上に正しく指を置いて準備をして、落ち着いて3拍目の和音を弾くようにします。
手は、準備された状態から弾くことになるので二つの音がずれないようにそろえて弾くことにも集中しやすくなると思います。
そして、手は正しい場所に準備された状態から弾くことになるのでミスタッチにはつながりません。
自分の手がどんな風に動いているのかをよく分かって弾くことはとても大切なことです。
初めのうちは上手くできなくても手の動きをよく観察しながら何度も練習するとできるようになると思います。
そして、この動きができるようになったら、今度は和音の上の音であるミの音(メロディー音)をよく聴くようにしてみます。
この和音は下の音(ド♯)は大きくなりすぎない方がバランスがきれいです。
”上の音を大きく、下の音を小さく” と、手や指をコントロールすることに重点を置くのではなく、”上のメロディーの音がよく聴こえるように、下の音はメロディーの音にきれいに寄り添うように” と、耳で聴くほうに重点を置くようにすると、手や指は自然にそのように動いてくれると思います。
3拍目の和音は2拍分の長さを十分に感じたいところです。
その後、手の形を始めのドレミファソのポジションに準備してから最後の2小節を弾くようにします。
【左手】
7小節目にファ♯が出てきます。
6小節目のソの音を弾く時に白鍵の下の方の位置で弾いてしまうと7小節目のファ♯までは遠くなり弾きにくくなってしまい、その状態で弾くことによってファ♯の音に余分なアクセントがついてしまうことにもなりかねません。
ここは、ソの音はファ♯の音に近い位置(ファ♯に指が楽に届く位置)で弾くようにすると次のファ♯の音が弾きやすくなります。
もう少し厳密に言うと、4小節目の2拍目のドの音を弾く時点で、5小節目のラ、6小節目のソ、7小節目のファ♯のポジションを意識するようにすると良いと思います。
13小節目のラの音は指使いが変わっているので気をつけます。
12小節目2拍目のドの音を弾くと同時に、少し1の指と2の指の間を広げて13小節目のラの音の準備をするようにします。
同じように、13小節目のラの音を弾くと同時に次のラ♭の準備。
ラ♭を弾くと同時に次の14小節目のソの音の準備。
14小節目のソの音を弾くと同時に次のラ(ナチュラル)の音の準備をします。
ピアノの音を出す一連の動作。
①指を鍵盤の正しい場所に準備する
②打鍵する
準備をしてから打鍵することは、指の余分な動きがなくなり落ち着いて弾くことができたり、自分の思う音色や音量が十分に発音できたり、ミスタッチを防ぐことができたりします。
小さなうちから必ず①があって②があるということを意識した練習を習慣づけることによって、これから先のピアノの練習に大きな差が出てくることは間違いないと思います。
付点4分音符と8分音符の組み合わせのリズム
3、11小節目の右手に出てくる付点4分音符と8分音符の組み合わせのリズムは、様々な曲でよく使われているリズムの一つです。
この機会に正しく覚えておくといいですね。
このリズム、やってしまいがちなのが1拍半の付点4分音符の長さが長くなり、半拍の8分音符が短くなってしまうパターンです。
そうすると、8分音符のレの音から次の4小節目のミの音へ急いでいるような感じのリズムになってしまいます。
この曲は4分の4拍子で、4分音符を1拍として感じて演奏しますが、リズムが正確にとれるようになるまでは8分音符を基準にした部分練習をすると良いと思います。
楽譜に赤く書いた8分音符の刻みを左手で膝を軽く打ちながら、縦の線で書いてある箇所に音符が入るように右手で弾くようにすると、付点4分音符と8分音符の組み合わせのリズムを正確に表現できるようになると思います。
リズムに慣れてきたら、音量のバランスにも気をつけます。
このリズムは8分音符のレの音にもたれてしまいがちになります。
そうすることでフレーズは、大きく聴こえるレの音によってデコボコした感じになってしまいます。
付点4分音符のドの音に重心をもってくるように(過度なアクセントにならない程度に)して、8分音符のレの音は、付点4分音符のドの音よりも音量が大きくならないようにすると自然な流れとなって聴こえてくると思います。
最後に・・・
ピアノの演奏の解釈は様々なので、ここに書いたのはあくまでも私自身が感じたこととして受け止めていただきたいと思います。
たくさんのことを書いてしまいましたが、就学前の幼児の子にどれだけのことができるか。
これにはかなりの個人差があります。
教える側からしたらあれもこれもとたくさんのことを要求してしまいがちなのですが、そうではなく生徒さんのペースに合わせてできることから少しずつ進めていくこと、そしてここに書いたこと全てができたら良くて、そうでなければ良くないということではなく、一つのことができるようになったことに対して認めてあげること。
その過程を大切にして、レッスンをしていきたいと思っています。